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概要

kanichi23

 一高同窓会70周年、おめでとうございます。 私は1996年に関西大学第一中学・高等学校の理科教諭として就職して以来21年間、一中一高で教鞭を執ってまいりました。現在は休職中の身であります。そんな私が記念誌の原稿を依頼され恐縮ではありますが、同窓会で話の種にでもなれば幸いです。 実は、今わたくしは南極にいます。第59次南極地域観測隊の越冬隊として南極の昭和基地で暮らしております。南極に来るのは2度目で、2011年には第53次南極地域観測隊の教員派遣同行者として南極の夏期間だけ昭和基地に滞在させていただきました。昭和基地から生中継で一中生に向けた授業を実施し、帰国後も南極の魅力を伝える講演活動をしてきました。そして、南極のことを話す度に、また行きたい、行くなら越冬してみたいという思いを募らせておりました。今回、第59次南極地域観測隊の地圏モニタリングという部門にダメもとで応募したところ、ご縁があり何とか採用していただくことができました。一中一高の先生方に多大なご迷惑をおかけすることを重々承知の上で応募に踏み切ったことは本当に自分勝手としか言いようがありません。しかし、そんなわがままを温かく受け入れて下さった教職員の皆様方と、関西大学の懐の深さに感謝しております。 折角ですので、南極の写真をいくつか紹介いたします。まずはオーロラです。(タイトル部背景) 最近は白夜に近づきつつあり、夜空を愉しむ時間も少なくなってきてしまいましたが、ブレイクアップといって激しいオーロラが出る時には、空一面を赤やピンクのオーロラがウネウネと動き回り自然の驚異を感じます。オーロラが出過ぎると見えないのですが、星空も美しいです。 ここ南極では、星座が逆さまに見えます。オーロラの上に逆立ちするオリオン、北半球では見ることが難しいカノープス、そして南十字星です。 極夜期に入る頃から動物を見なくなりましたが、また10月ごろからはペンギンなども姿を現しはじめます。昭和基地周辺に営巣地を持つアデリーペンギンです。 そして、昭和基地の美しい朝焼けや夕焼けです。 ここで暮らしていると、人間の基本的な幸せを感じます。携帯もつながらないし買い物にも行けない、現代人が必要としそうなものはあまりありませんが、とてつもない自然を目の前にして、生かされているという謙虚な気持ちと喜びを感じます。 3月に帰国後は、こんな心が震える感覚を一中一高の生徒たちをはじめ多くの方々に伝えていけたらと思っています。第59次南極地域観測隊 越冬隊 地圏モニタリング  東野 智瑞子関大一高同窓会70周年によせて特 別 寄 稿南極からのメッセージだいすきな空僻地の朝焼けカノープスと南十字逆立ちオリオンKANSAI UNIV. DAI-ICHI10 KANSAI UNIV. DAI-ICHI